金融庁›令和9年度 税制改正要望
金融庁の令和9年度税制改正要望 NISAの非課税保有限度額の当年中の復活、損益通算範囲の拡大などを要望
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何が出たか
金融庁は2026年(令和8年)8月31日、「令和9年度 税制改正要望項目」を取りまとめたとして、資料「令和9(2027)年度税制改正要望について」をウェブサイトで公表しました。資料は表紙のほかに7ページあり、1ページ目に「主な要望項目」5項目、7ページ目に「その他の要望項目」17項目が並んでいます。
総務省のウェブサイトにも、金融庁の要望のうち地方税に関わる15項目が掲載されています。
主な要望項目(資料1ページ)
| 柱 | 要望項目 | 共同要望(資料の記載) |
|---|---|---|
| 1.「資産運用立国」の推進 | NISAの利便性向上等 | 記載なし |
| 同上 | 銀行等の投資専門子会社による中小企業への出資に関する特例措置 | 経済産業省 |
| 同上 | 金融所得課税の一体化(金融商品に係る損益通算範囲の拡大) | 経済産業省・農林水産省 |
| 2.子育て世帯への支援 | 生命保険料控除制度の拡充の恒久化等 | 農林水産省・厚生労働省・経済産業省 |
| 3.金融イノベーションの推進 | 特定信託受益権(信託型ステーブルコイン)に係る所要の措置 | 記載なし |
資料の原文
NISAの利便性向上等
あらゆる世代が自身のライフプランに沿った形で資産形成を行えるよう、非課税保有限度額の当年中の復活や、つみたて投資枠における要件の整備等、NISAの利便性向上等にかかる所要の措置を講ずること。
(出典:金融庁「令和9(2027)年度税制改正要望について」2ページ「要望事項」。ページは資料下部の番号。以下同じ)
資料の図では、売却後の非課税保有限度額(1,800万円)の復活について、「現状」は「翌年に復活」、「検討案」は「当年中に復活」と示されています。つみたて投資枠の図では、指定指数に連動しないETFは「現状、要件未整備」とされ、「対象とすべきETFの要件を整備する」と書かれています。資料には次の注記もあります。
(注) 新NISA(令和6年に制度開始)の年間投資可能額が360万円以下となり得るのは令和11年以降だが、投資家の制度の予見可能性を高め、金融機関のシステム対応のため十分な期間を確保するためには今年度の改正が必要。
(出典:同2ページ)
総務省に掲載された地方税の要望事項(No.7)には、金融庁「NISA 利用状況調査」(令和7年12月末時点)の数字として、口座数2,821万口座、買付額の合計71.4兆円が記載されています。
銀行等の投資専門子会社による中小企業への出資に関する特例措置
金融庁は資料で、銀行等が投資専門会社を通じて中小企業に一定割合(単独で1/2・他の企業を含めて2/3)以上出資している場合、出資先が「みなし大企業」に該当し、中小企業者向けの税制優遇を適用できないことを問題点に挙げています。
銀行等の投資専門会社による出資に関して、当該出資先企業を「みなし大企業」から除外すること。
(出典:同3ページ「要望事項」)
金融所得課税の一体化(損益通算範囲の拡大)
投資家が多様な金融商品に投資しやすい環境の整備を図り、家計による成長資金の供給拡大等を促進する観点から、金融商品に係る損益通算範囲をデリバティブ取引・預貯金等にまで拡大すること。
(出典:同4ページ「要望事項」)
資料には参考として、令和8(2026)年度税制改正大綱の次の部分が抜粋されています。
デリバティブ取引に係る金融所得課税の更なる一体化については、意図的な租税回避行為を防止するための方策等に関するこれまでの検討の成果を踏まえ、総合的に検討する。
(出典:同4ページ)
総務省に掲載された地方税の要望事項(No.9)は、この要望を「平成 17 年度からの継続要望」としています。同じ様式には次の2点も含まれ、減収見込額は初年度・平年度とも「▲5,600」(単位:百万円)と記載されています。
2 損益通算範囲の拡大に当たっては、特定口座を最大限活用すること。 3 制度導入に当たっては、個人投資家の利便性や金融機関の負担について十分配慮すること。
(出典:総務省掲載 金融庁 令和9年度地方税制改正要望事項 No.9 9-1ページ)
生命保険料控除制度の拡充の恒久化等
令和8・9年分所得税において講じられた、23歳未満の扶養親族を有する場合の一般生命保険料控除枠の所得控除限度額に対する2万円の上乗せ措置を恒久化するなど所要の措置を講ずること。
(出典:金融庁資料5ページ「要望事項」)
資料は、現行の上乗せ措置を「令和8・9年限りの時限措置」と説明しています。
特定信託受益権(信託型ステーブルコイン)に係る所要の措置
金融庁は資料で、信託型ステーブルコインのスキームでは、受託者が受益者(保有者)の氏名等やその変更を把握できないことを問題点に挙げています。
特定信託受益権に係る信託について、 受益者等の変更等があった場合における相続税法上の「信託に関する受益者別調書」及び所得税法上の「信託の計算書」について提出を不要とするなど、所要の措置を講ずること。
(出典:同6ページ「要望事項」)
暗号資産に関する記載
金融庁の資料の要望項目名には「暗号資産」の語はありません。総務省に掲載された地方税の要望事項のうち、「改正金融商品取引法等の施行に伴う所要の措置」(No.3)では、令和8年7月15日に成立した改正法による課徴金制度の見直しの一つとして、次の項目が挙げられています。
暗号資産に係る情報公表規制・不公正取引規制の課徴金制度の整備
金融庁はこの様式で、次のように要望しています。
上記改正により新たに課徴金制度の適用対象となる者及び行為に係る課徴金についても、現行と同様に、損金及び必要経費に算入しない取扱いを維持すること。
(出典:総務省掲載 金融庁 令和9年度地方税制改正要望事項 No.3 3-1ページ)
その他の要望項目(資料7ページ)
資料では、次の17項目が「その他の要望項目」とされています(■は資料で「日切れ関連」と表示された項目)。
- ■ 投資法人(J-REIT)等及び特例事業者等が取得する不動産に係る登録免許税等の特例措置の延長等〔国土交通省主担〕
- ■ 店頭デリバティブ取引の証拠金に係る利子の非課税措置の恒久化及び拡充
- ■ 破綻金融機関・保険会社等から協定銀行が不動産を取得した場合の非課税措置の恒久化又は延長〔財務省と共同要望〕
- 外国子会社合算税制(CFC税制)に係る外国税控除制度の特例措置の拡充
- 国際情勢を考慮した国際租税に係る所要の措置
- 相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(取得費加算)に係る所要の措置
- 上場株式等の相続税に係る見直し
- 保険会社に係る収入金額による外形標準課税方式の維持
- 死亡保険金の相続税非課税限度額の引上げ
- 一定の外国発行の信託型ステーブルコインを電子決済手段として規定することに伴う所要の措置
- 改正金融商品取引法等の施行に伴う所要の措置
- 民法の改正(遺言制度の見直し)に伴う所要の措置〔法務省主担〕
- 結婚・子育て資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置の廃止〔こども家庭庁主担〕
- 国債に関する税制の検討【事項要望】〔財務省と共同要望〕
- OECDの新国際課税ルールに係る所要の措置【事項要望】
- 保険業に関する制度の見直しに伴う所要の措置【事項要望】
- 金融制度等の見直しに伴う所要の措置【事項要望】
いまどの段階か
金融庁が税制改正要望として項目を取りまとめ、公表した段階です。
この先の流れ
各省庁の税制改正要望は、例年12月に与党が取りまとめる税制改正大綱で扱いが示されます。金融庁の資料には、大綱の時期についての記載はありません。
経過
- 金融庁が「令和9年度 税制改正要望項目」を公表
出典
- 金融庁「金融庁の令和9年度税制改正要望について」(令和8年8月31日)(2026年9月12日取得)
- 金融庁「令和9(2027)年度税制改正要望について」(2026年8月)(2026年9月12日取得)
- 総務省「令和9年度 税制改正要望(金融庁)」(2026年9月12日取得)
- 総務省掲載 金融庁 令和9年度地方税制改正要望事項 No.7「NISAの利便性向上等」(2026年9月12日取得)
- 総務省掲載 金融庁 令和9年度地方税制改正要望事項 No.9「金融所得課税の一体化(金融商品に係る損益通算範囲の拡大)」(2026年9月12日取得)
- 総務省掲載 金融庁 令和9年度地方税制改正要望事項 No.3「改正金融商品取引法等の施行に伴う所要の措置」(2026年9月12日取得)