こども家庭庁こども家庭審議会 幼児期までのこどもの育ち部会(保育専門委員会)

保育所保育指針の改定は、こども家庭審議会でどう議論されているか 2025年4月の諮問から2026年8月の取りまとめ案まで

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こども家庭審議会 幼児期までのこどもの育ち部会(保育専門委員会)
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幼児期までのこどもの育ち部会 第15回(2026年8月31日開催)
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保育所での保育の内容は、内閣府告示の「保育所保育指針」に、幼保連携型認定こども園での教育・保育の内容は、内閣府・文部科学省告示の「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」に定められています(第15回 部会 資料1-1)。幼稚園の「幼稚園教育要領」(文部科学省告示)と合わせて、資料では「3要領・指針」と呼ばれています。

この3要領・指針の改定に向けた議論が、こども家庭審議会と、文部科学省の中央教育審議会で進んでいます。こども家庭審議会では、幼児期までのこどもの育ち部会の下の「保育専門委員会」が、中教審の「幼児教育ワーキンググループ(WG)」と合同で議論してきました。2026年8月31日の部会に、両者の取りまとめ案が示されています。

第1回 保育専門委員会で、こども家庭庁の水田長官官房審議官は、保育所保育指針などはこれまで約10年に一度改定されてきたと説明しています。現行の指針・要領は平成30年4月に施行されたものです(諮問理由)。

決まるまでの流れ(時系列)

  1. 2025年4月25日 こども家庭審議会 第6回内閣総理大臣が「保育所、認定こども園における保育の内容の基準等の在り方について」を諮問(諮問第3号)。調査審議は幼児期までのこどもの育ち部会で行うことに。
  2. 2025年6月2日 幼児期までのこどもの育ち部会 第13回部会の下に保育専門委員会を置く案を事務局が提示。
  3. 2025年10月22日〜11月25日 保育専門委員会 第1回〜第3回第1回は幼児教育WGと合同。共通の検討事項と、令和8年夏頃までのまとめを目指す進め方を事務局が説明。関係団体ヒアリング、資質・能力の議論。
  4. 2026年1月21日〜4月9日 第4回〜第8回生涯にわたるウェルビーイングの向上に資する保育の充実(第4回)、小学校教育との接続(第5回)、ICTの活用と特別な配慮を必要とする乳幼児(第6回)、計画と評価・家庭や地域との連携(第7回・第8回)を順に議論。
  5. 2026年5月29日 第9回事務局が「幼児教育WG・保育専門委員会取りまとめ(案)」を提示。
  6. 2026年6月5日 第10回修正した取りまとめ案を議論。最終的な取りまとめは委員長と主査に一任。
  7. 2026年8月4日 会議後修正版の掲載保育専門委員会のページに、会議後修正の取りまとめ(案)が令和8年8月4日の日付で掲載。
  8. 2026年8月31日 令和9年度概算要求/幼児期までのこどもの育ち部会 第15回こども家庭庁の概算要求に、新しい保育所保育指針等の実施に向けた新規事業。同じ日の部会に取りまとめ案を提示(議事録は、確認した時点で未掲載)。

議事録と資料の原文

2025年4月 諮問:「量の拡大」から「質の向上」への転換を背景に

諮問理由は、現行の指針・要領について次のように書き出しています。

現行の保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領が平成 30 年4月に施行されてから、7年が経過したところです。

諮問理由は、前年(2024年)12月に公表された「保育政策の新たな方向性」で、待機児童対策を中心とした「保育の量の拡大」から「質の向上」へと方向性を転換することが示されたことにも触れています。そのうえで、審議してほしい事項を6つ挙げています。

ついては、こうした点等を踏まえ、今後の保育所、認定こども園における保育の内容の基準等の在り方について、具体的には、以下の事項を中心に御審議をお願いします。

6項目のうち、1つ目と4つ目は次のとおりです。

〇 こども基本法等の趣旨を踏まえつつ、こどもが主体的に遊び育つことを保障する保育の在り方をどのように考えるか。

〇 多様なこどもや大人との関わりの中でこどもが育つための、地域に開かれた保育や子育て支援の在り方をどのように考えるか。

(出典:幼児期までのこどもの育ち部会 第15回 参考資料1「保育所、認定こども園における保育の内容の基準等の在り方について(諮問)」別紙)

諮問を受けた審議会では、秋田会長が次のように述べています。

ただいまの内閣総理大臣からの諮問に関しましては、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領等に関する調査審議について、幼児期までのこどもの育ち部会において進めていただくようお願いいたします。

(出典:こども家庭審議会 第6回 議事録。秋田会長の発言)

2025年10月 保育専門委員会の始動:中教審と合同で「共通の検討事項」

保育専門委員会は、幼稚園教育要領を審議する中教審の幼児教育WGと合同で開かれています。第15回 部会の資料1-1は、両省の検討体制を次のように図にしています。

3要領・指針の改定に向けた検討体制の図。こども家庭庁側はこども家庭審議会、幼児期までのこどもの育ち部会、保育専門委員会。文部科学省側は中央教育審議会、初等中等教育分科会、教育課程部会、教育課程企画特別部会、幼児教育WG。保育専門委員会と幼児教育WGは合同開催
出典:こども家庭庁 幼児期までのこどもの育ち部会(第15回)資料1-1「保育所保育指針等に関するこれまでの経緯」7ページ

第1回で事務局が示した「主な検討事項」は、次の文で始まります。

こうした社会状況の下、これまでの実践の成果と課題を踏まえ、本WG・委員会においては、幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領の一層の整合性及び小学校学習指導要領等との連続性を図るため、以下の事項を共通事項として検討する。

(出典:保育専門委員会 第1回 資料1「主な検討事項」)

共通事項は、「遊びの中での直接的・具体的な体験の一層の充実に向けた、指導と評価の改善・充実の在り方」「育みたい資質・能力の在り方・示し方」「子育て支援の充実、地域の体制づくりの推進」の3つです。

こども家庭庁と文部科学省の事務局は、進め方を次のように説明しました。

幼児教育ワーキンググループと保育専門委員会の合同開催によりまして、3要領・指針について、共通の論点などに関しましては一体的に御審議をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

(出典:保育専門委員会 第1回 議事録。横田成育基盤企画課長の発言)

これから来年度にかけて審議を深めていただき、令和8年夏頃までにワーキンググループ・委員会としてのまとめを出していただくべく御議論を頂戴することになります

(出典:保育専門委員会 第1回 議事録。上遠野子育て支援指導官〈文部科学省幼児教育課〉の発言)

2026年1〜4月 個別の論点:家庭との連携など

第7回と第8回では、家庭や地域との連携が議題になりました。第8回の事務局資料の説明には、次の一文があります。

一部の幼児教育施設においては、幼児教育の基本から見て必ずしも適切とは言えない活動が行われることが危惧されているとともに、保護者においても長時間預かることを求めたり、幼児への教育について過度に期待しすぎたりする傾向も見られます。

(出典:保育専門委員会 第8回 議事録。上遠野子育て支援指導官の発言)

第8回の終わりに、事務局は次の段階について説明しています。

ですので次回以降、議論をまとめていく段階に入っていくことになろうかと思いますので、また資料を準備させていただければと思います。

(出典:保育専門委員会 第8回 議事録。上遠野子育て支援指導官の発言)

2026年5〜6月 取りまとめ案:「遊びの深まり」

第9回で示した取りまとめ案について、事務局は次のように説明しました。

本取りまとめに全ての御意見を記載することは分量的に難しいため、次期3要領・指針をどういった考えで改善していくかといった方向性を示すものにフォーカスしてまとめさせていただいております。

(出典:保育専門委員会 第9回 議事録。上遠野幼児教育課子育て支援指導官の発言)

第10回では、第9回の意見を踏まえた修正箇所が説明されました。そのうち、家庭との関わりが大きい追記は次の2つです。

家庭や地域の状況に関わらず、全ての乳幼児のウェルビーイングの向上に向けて、幼稚園・保育所・認定こども園は多様な乳幼児一人一人を尊重し、多様性が包摂された園生活の中で、全ての乳幼児の育ちや学びを保障していくことが重要

とりわけ在園時間が長時間にわたる乳幼児には、一人一人の生活のリズムに配慮し、園と家庭での生活の連続性を確保したり、保育の内容や方法を工夫したりするなどの配慮が必要

(出典:保育専門委員会 第10回 議事録。西尾成育基盤企画課長補佐による取りまとめ案の修正箇所の説明)

第10回の最後に、秋田委員長は次のように諮りました。

最終的な取りまとめの作成に関しましては、委員長である私と古賀主査の一任をさせていただければと思いますが、よろしいでしょうか。

(出典:保育専門委員会 第10回 議事録。秋田委員長の発言)

同じ回で、文部科学省の三木文部科学戦略官は、この先の手続きを次のように説明しています。

この取りまとめ案につきましては、これから教育課程企画特別部会等におきまして、幼小中高の全体を通じてご審議していただいた上で、中央教育審議会とこども家庭審議会のそれぞれにおいて答申をおまとめいただくわけでございますけれども

(出典:保育専門委員会 第10回 議事録。三木文部科学戦略官の発言)

2026年8月31日 部会に取りまとめ案

8月31日の幼児期までのこどもの育ち部会 第15回には、取りまとめ案(資料1-2)とその概要(資料1-3)が出されました。概要は、9つの項目で改善の方向性をまとめています。

幼児教育WG・保育専門委員会取りまとめ案の概要。資質・能力の育成に向けた遊びの深まりの実現を副題に、改善の方向性、資質・能力の構造化、内容の改善、指導・評価、養護、特別な配慮を必要とする乳幼児、小学校教育との接続、家庭や地域との連携・支援、地域の体制の9項目を並べた一覧
出典:こども家庭庁 幼児期までのこどもの育ち部会(第15回)資料1-3「幼児教育WG・保育専門委員会取りまとめ案(概要)」2ページ

第15回の議事録は、2026年9月13日に確認した時点で部会のページに掲載されていません。この回の内容は、この記事では資料だけで確認しています。

令和9年度概算要求:改定後の指針の周知に新規事業

こども家庭庁が2026年8月31日に公表した令和9年度概算要求のポイント(資料1)には、「保育の質の向上等」の項目に次の記載があります。

新しい保育所保育指針等の円滑な実施に向けた環境の整備(3億円)

(出典:こども家庭庁「令和9年度 こども家庭庁予算 概算要求のポイント」2ページ)

資料2の事業ページでは、「新しい保育所保育指針等の円滑な実施に向けた環境の整備事業」の令和9年度概算要求額が0.9億円と記載されています。事業の目的は次のとおりです。

保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領の改定を着実に実施するとともに、新保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領について、解説書の作成、参考資料等を作成し、改定の趣旨や理念等について周知・徹底を図る。

新しい保育所保育指針等の円滑な実施に向けた環境の整備事業の概要。令和9年度概算要求額0.9億円。全国8ブロックでの説明会、告示及び解説冊子の作成、保育所保育指針等のコンテンツサイトの作成
出典:こども家庭庁「令和9年度予算概算要求の概要(主な新規・拡充事業)」22ページ

論点になったこと

3要領・指針の一本化

保育所保育指針、認定こども園の教育・保育要領、幼稚園教育要領を一本にしてほしいという要望が、第1回の関係団体ヒアリング(全国保育協議会、全国認定こども園協会)から出ています。委員からも同じ要望が続きました。

まず、これは終始申し上げているところでございますけれども、この3要領・指針を「こどもまんなか」の理念に基づいてどうぞ一本化をお願いいたします。

(出典:保育専門委員会 第10回 議事録。北野久美委員の発言)

取りまとめ案(第15回 資料1-2と会議後修正版)の本文に「一本化」という語はありません。読んだ議事録の範囲では、事務局がこの要望に直接答えた発言は見当たりませんでした。

養護の位置付け

保育所の「養護」(生命の保持と情緒の安定)の扱いには、方向の違う意見が出ています。第4回では、次の懸念が示されました。

ただ、大切にするあまり、養護ばかりが中心の保育になっていないかという懸念がございます。

(出典:保育専門委員会 第4回 議事録。飯田委員の発言)

一方、第9回では、養護を全体の基礎として前に置くよう求める意見が出ました。

施設類型にかかわらず、全ての子供の育ちの基礎に養護があるのだということを明確にしていただいて、この記載全体を前のほうに持っていっていただいて

(出典:保育専門委員会 第9回 議事録。北野久美委員の発言)

第15回の取りまとめ案は、保育所・幼保連携型認定こども園の養護について、「養護を基盤として」乳幼児期全般を通して育ちと学びを支えられるよう、位置付けや記載内容を整理することが重要だとしています(資料1-2 10ページ)。

ICTの活用

第6回では、有効な使い方と研修・予算の必要を挙げる意見と、直接体験の時間を削ることへの反対の両方が出ました。

デメリットが多いから今後使わないほうがいいというだけではなくて、今後の予算措置とセットに保育者の専門性として必要だと思います。

(出典:保育専門委員会 第6回 議事録。秋田委員長の発言)

その時間を削ってまでICTにかかるというのは反対ですし、大切な発達保障ができていないと考えます。

(出典:保育専門委員会 第6回 議事録。佐々木委員の発言)

取りまとめ案の概要は、ICTを乳幼児の直接的・具体的な体験の充実を図る道具として活用し、体験を阻害しないよう留意点を示すとしています(資料1-3 2ページ)。

長時間の在園と職員配置

保育現場の実態として長時間の在園が挙げられ、指針のねらいを実現する条件整備を求める意見が出ています。

私ども保育現場では、やはり12時間開所以上のこともございますので、基本的に11時間以上いるお子さんもいます。

(出典:保育専門委員会 第9回 議事録。北野久美委員の発言)

子供たちにしっかりと向き合って指針等のねらいを達成して保育の質を保障するためには、配置基準の改善は急務です。

(出典:保育専門委員会 第10回 議事録。北野久美委員の発言)

長時間在園する乳幼児への配慮は、第10回の修正で取りまとめ案に書き加えられました(前述)。読んだ取りまとめ案(資料1-2と会議後修正版)には、「配置基準」という語はありませんでした。

いまどの段階か

保育専門委員会と幼児教育WGの合同の議論は、2026年6月5日の第10回で、三木文部科学戦略官の言葉では「一定の区切り」を迎え、最終的な取りまとめは委員長と主査に一任されました。保育専門委員会のページには「取りまとめ(案)※会議後修正」が掲載され、8月31日の幼児期までのこどもの育ち部会に取りまとめ案が示された段階です。資料の表題はいずれも「案」のままで、こども家庭審議会としての答申は出ていません。

取りまとめ案は改善の「方向性」を示すもので、改定後の指針・要領の文案は、読んだ資料には含まれていません。

この先の流れ

  • 答申:三木文部科学戦略官の説明では、取りまとめ案は中教審の教育課程企画特別部会などで審議したうえで、中央教育審議会とこども家庭審議会のそれぞれで答申をまとめるとされています(第10回 議事録)。答申の時期は、読んだ資料・議事録に書かれていません。
  • 告示の改定:保育所保育指針と幼保連携型認定こども園教育・保育要領は告示で定められています(資料1-1)。改定の告示をいつ出すかは、読んだ事務局資料に書かれていません。第10回では、委員から次の発言がありました。

今後、本年度末の告示化に合わせて解説書を作成すると伺っています。

(出典:保育専門委員会 第10回 議事録。北野久美委員の発言)

この記事では、この発言を手がかりに、令和8年度末(2027年3月31日)に告示の状況を確認します。

  • 予算:令和9年度概算要求には、改定後の指針・要領の説明会、告示と解説冊子の作成、コンテンツサイトの作成が新規事業として盛り込まれています。概算要求の扱いは、例年12月に閣議決定される政府予算案で示されます。
  • 施行:改定後の指針・要領をいつから施行するかは、読んだ資料には書かれていません。第10回で、こども家庭庁の中村成育局長は次のように述べています。

施行する前にもですね、いち早くこれを皆さんにご理解いただくように、様々な周知に努めていきたいと思っております。

(出典:保育専門委員会 第10回 議事録。中村成育局長の発言)

経過

  1. こども家庭審議会 第6回。内閣総理大臣が「保育所、認定こども園における保育の内容の基準等の在り方について」を諮問(諮問第3号)
  2. 幼児期までのこどもの育ち部会 第13回。部会の下に保育専門委員会を置く案を事務局が提示
  3. 保育専門委員会 第1回(中央教育審議会の幼児教育WGと合同)。事務局が共通の検討事項を示し、令和8年夏頃までのまとめを目指すと説明
  4. 保育専門委員会 第4回。「生涯にわたるウェルビーイングの向上に資する保育の充実」を議論。以後、第5回〜第8回で小学校との接続、ICT、評価、家庭・地域との連携を順に議論
  5. 保育専門委員会 第8回。事務局が、次回以降はまとめの段階に入ると説明
  6. 保育専門委員会 第9回。事務局が「幼児教育WG・保育専門委員会取りまとめ(案)」を提示
  7. 保育専門委員会 第10回。修正した取りまとめ案を議論し、最終的な取りまとめは委員長と主査に一任
  8. 保育専門委員会のページに、会議後修正の取りまとめ(案)が令和8年8月4日の日付で掲載
  9. こども家庭庁が令和9年度概算要求を公表。新規事業「新しい保育所保育指針等の円滑な実施に向けた環境の整備」
  10. 幼児期までのこどもの育ち部会 第15回。取りまとめ案を部会に提示(議事録は未掲載)

出典