全省庁審議会・検討会と法案

審議会・部会・検討会とは何か。諮問から答申、法案の閣議決定、国会での成立まで

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審議会・検討会と法案

ポイント

  • 法令上の「審議会等」は、国家行政組織法第8条や内閣府設置法第37条・第54条に基づき、法律または政令で置かれる合議制の機関です。部会・分科会はその下部機関で、法令に根拠を持たない「懇談会等」とは閣議決定で扱いが分けられています。
  • 内閣が出す法律は、省庁の原案づくり(必要なら審議会への諮問)、内閣法制局の審査、閣議決定・国会提出、両議院の委員会と本会議、成立、公布、施行の順に進みます。
  • 法制審議会の諮問第125号(遺言制度の見直し)を例に、2024年2月の諮問から2026年6月の公布までの日付を一次資料で追います。

審議会は法律上どういう機関か

国家行政組織法は、第8条(見出し「審議会等」)で次のように定めています。

第三条の国の行政機関には、法律の定める所掌事務の範囲内で、法律又は政令の定めるところにより、重要事項に関する調査審議、不服審査その他学識経験を有する者等の合議により処理することが適当な事務をつかさどらせるための合議制の機関を置くことができる。

(出典:国家行政組織法第8条)

内閣府については、内閣府設置法第37条第2項(本府)と第54条(委員会及び庁)が、同じく「合議制の機関」を置くことができると定めています。「審議会等の整理合理化に関する基本的計画」(平成11年4月27日閣議決定。以下「基本的計画」)は、これらをまとめて「審議会等」と呼んでいます。

審議会等(国家行政組織法第8条並びに内閣府設置法第37条及び第54条の審議会等をいう。以下同じ。)

(出典:基本的計画「1.審議会等の整理合理化」)

内閣官房内閣人事局の「審議会等一覧(令和8年4月1日現在)」には、計136の審議会等が載っています。内閣府の欄には税制調査会や規制改革推進会議、法務省の欄には法制審議会があります。

個々の審議会の役割は、設置の根拠となる法律や政令に書かれています。法制審議会は法務省組織令(政令)第54条で法務省に置かれ、第55条で役割が次のように定められています。

法制審議会は、次に掲げる事務をつかさどる。 一 法務大臣の諮問に応じて、民事法、刑事法その他法務に関する基本的な事項を調査審議すること。

(出典:法務省組織令第55条第1項)

基本的計画の別紙3「審議会等の運営に関する指針」は、政策を審議する審議会と、最終的な決定との関係を次のように書いています。

基本的な政策を審議する審議会等は、有識者等の高度かつ専門的な意見等を聴くため設置されるものであり、行政府としての最終的な政策決定は内閣又は国務大臣の責任で行うものであることを踏まえ、審議及び答申を行うに際しては、次の点に留意するものとする。

(出典:基本的計画 別紙3「審議会等の運営に関する指針」3.(2))

部会・分科会

基本的計画の別紙2「審議会等の組織に関する指針」は、審議会等の下部機関として分科会と部会を挙げています。

分科会は、審議事項のまとまりが大きく、独立性が高い場合において法令により直接設置するものとし、法令により数、名称及びその所掌事項を定めるものとする。

部会は、審議事項のまとまりが大きくない場合、あるいは独立性が高くない場合に設置するものとし、総会の決議により数、名称及びその所掌事項を定めるものとする。

(出典:基本的計画 別紙2「審議会等の組織に関する指針」5.(1))

部会などで審議した事項を、審議会としての結論にする方法は次のとおりです。

分科会、部会において審議が行われた事項に係る審議会等としての意思決定は、原則として、総会における総合的な審議を経た上で、総会の議決により行うものとする。 なお、審議事項によっては、分科会、部会の委員構成等にも配慮した上で、諮問権者の同意を得て、あらかじめ総会の定めにより、分科会、部会の結論をもって審議会等の意思決定とすることができるものとする。

(出典:同 5.(2))

法制審議会令も、第6条第1項で部会について定めています。

審議会に部会を置くことができる。

(出典:法制審議会令第6条第1項)

検討会・研究会・有識者会議など(懇談会等)との違い

法令に根拠を持たない会合について、基本的計画の別紙4「懇談会等行政運営上の会合の開催に関する指針」は、対象を次のように定義しています。

行政運営上の参考に資するため、大臣等の決裁を経て、大臣等が行政機関職員以外の有識者等の参集を求める会合であって、同一名称の下に、同一者に、複数回、継続して参集を求めることを予定しているもの

(出典:基本的計画 別紙4 注記)

指針は、こうした会合の性格と開き方を次のように定めています。

懇談会等行政運営上の会合については、審議会等とは異なりあくまでも行政運営上の意見交換、懇談等の場として性格付けられるものであることに留意した上、審議会等の公開に係る措置に準ずるとともに、2.の基準により、その開催及び運営の適正を確保した上で、意見聴取の場として利用するものとする。

省令、訓令等を根拠としては開催しないものとする。

審議会、協議会、審査会、調査会又は委員会の名称を用いないものとする。

懇談会等の定員及び議決方法に関する議事手続を定めないものとする。 また、聴取した意見については、答申、意見書等合議体としての結論と受け取られるような呼称を付さないものとする。

(出典:基本的計画 別紙4「懇談会等行政運営上の会合の開催に関する指針」1.、2.(1)〜(3))

この定義は、会合の名前ではなく「大臣等の決裁を経て」有識者の参集を求める会合かどうかで書かれています。ある会議が法令上の審議会等かどうかは、内閣人事局の審議会等一覧や、その会議の設置根拠となる法律・政令で確かめられます。

検討会の取りまとめが審議会の資料になった例として、法制審議会第201回会議(令和7年2月10日)では、諮問第128号が出された際に「自動車運転による死傷事犯に係る罰則に関する検討会」取りまとめ報告書が配布資料になっています。

公開のルール

審議会等の公開について、運営に関する指針は次のように定めています。懇談会等も、上の別紙4の引用のとおり「審議会等の公開に係る措置に準ずる」とされています。

① 審議会等の委員の氏名等については、あらかじめ又は事後速やかに公表する。 ② 会議又は議事録を速やかに公開することを原則とし、議事内容の透明性を確保する。なお、特段の理由により会議及び議事録を非公開とする場合には、その理由を明示するとともに、議事要旨を公開するものとする。

(出典:基本的計画 別紙3「審議会等の運営に関する指針」3.(4))

諮問から法律の施行までの流れ

内閣が国会に提出する法律案(閣法)の場合の流れです。

  1. 大臣が審議会に諮問する諮問に応じて調査審議する役割は、各審議会の設置法令に書かれています(法制審議会は法務省組織令第55条)。運営に関する指針は、諮問の際に検討が必要な項目や問題点をあわせて示し、必要に応じて答申期限を設けるとしています。
  2. 部会で審議する部会は総会の決議で置かれます(組織に関する指針 5.(1))。
  3. 部会が案をまとめ、総会が答申する審議会としての意思決定は、原則として総会の議決で行います(同 5.(2))。
  4. 所管省庁が法律案の原案を作る審議会への諮問などが必要な場合は、その手続を済ませます(内閣法制局)。
  5. 内閣法制局が審査する閣法は、閣議の前に全て審査を受けます(内閣法制局)。
  6. 閣議決定し、国会に提出する内閣の職権は閣議によって行われ(内閣法第4条)、内閣総理大臣が内閣を代表して国会に提出します(内閣法第5条、憲法第72条)。
  7. 委員会で審査する議長が適当の委員会に付託します(国会法第56条第2項)。
  8. 本会議で可決し、もう一方の議院へ送る先に提出された議院で可決されると、他の議院に送付されます(内閣法制局)。
  9. 両議院で可決して成立憲法第59条第1項。
  10. 公布議長から内閣を経由して奏上され(国会法第65条)、奏上の日から30日以内に公布されます(国会法第66条)。公布は官報への掲載で行われます(内閣法制局)。
  11. 施行施行日は、通常その法律の附則で定められます(内閣法制局)。

各段階の根拠の原文です。

内閣が提出する法律案の原案の作成は、それを所管する各省庁において行われます。

更に、審議会に対する諮問又は公聴会における意見聴取等を必要とする場合には、これらの手続を済ませます。

内閣が提出する法律案については、閣議に付される前に全て内閣法制局における審査が行われます。

閣議請議された法律案については、異議なく閣議決定が行われると、内閣総理大臣からその法律案が国会(衆議院又は参議院)に提出されます。

(出典:内閣法制局「法律ができるまで」)

内閣総理大臣は、内閣を代表して内閣提出の法律案、予算その他の議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告する。

(出典:内閣法第5条)

議案が発議又は提出されたときは、議長は、これを適当の委員会に付託し、その審査を経て会議に付する。

(出典:国会法第56条第2項)

法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。

(出典:日本国憲法第59条第1項)

法律は、奏上の日から三十日以内にこれを公布しなければならない。

(出典:国会法第66条)

なお、法律の効力が一般的、現実的に発動し、作用することになることを「施行」といい、公布された法律がいつから施行されるかについては、通常、その法律の附則で定められています。

(出典:内閣法制局「法律ができるまで」)

閣議決定の前に与党内で法律案を審査する手続き(いわゆる与党審査)は、ここで引用した法令や内閣法制局の説明には書かれていないため、上の流れには入れていません。

実際の例:遺言制度の見直し(諮問第125号から令和8年法律第45号まで)

  1. 2024年2月15日 諮問と部会への付託法制審議会第199回会議で、法務大臣から諮問第125号が発せられ、新設の民法(遺言関係)部会に付託されました。同じ会議で、成年後見制度の見直しに関する諮問第126号も出されています。
  2. 2024年4月16日〜2026年1月20日 部会で審議(計17回)部会のページには、2025年7月15日の中間試案の取りまとめも掲載されています。
  3. 2026年1月20日 部会が要綱案を決定第17回会議で、全会一致で決定されました。
  4. 2026年2月12日 総会で答申法制審議会第204回会議で要綱案が全会一致で採択され、法務大臣に答申することとされました。
  5. 2026年4月3日 閣議決定・国会提出法務大臣が同日の閣議後記者会見で閣議決定を説明しています。衆議院の審議経過情報では、第221回国会の閣法第43号「民法等の一部を改正する法律案」として同日に受理されています。
  6. 2026年5月15日〜26日 衆議院5月15日に法務委員会に付託、22日に委員会で可決、26日に衆議院で可決。
  7. 2026年5月26日〜6月17日 参議院で可決・成立5月26日に受理、6月1日に法務委員会に付託、16日に委員会で可決、17日に可決され成立。
  8. 2026年6月24日 公布令和8年法律第45号。法務省のページでは官報掲載は同日の号外第138号です。
  9. 施行改正の内容ごとに、政令で定める日から施行されます(下の法務省の説明)。

各段階の原文です。

この諮問について、その審議の進め方等に関する意見表明があり、諮問第125号については、「民法(遺言関係)部会」(新設)に付託して審議することとし、部会から報告を受けた後、改めて総会において審議することとされた。

(出典:法務省「法制審議会第199回会議(令和6年2月15日開催)」議事概要)

上記1の審議の結果、部会資料17-1をもって「民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案」とすることが全会一致で決定された。

(出典:法務省「法制審議会民法(遺言関係)部会第17回会議(令和8年1月20日開催)」議事概要)

民法(遺言関係)部会長から、諮問第125号について、同部会において決定された要綱案に関する審議結果等の報告がされた。 審議・採決の結果、同要綱案は、全会一致で原案どおり採択され、直ちに法務大臣に答申することとされた。

(出典:法務省「法制審議会第204回会議(令和8年2月12日開催)」議事概要)

続いて、私から、本日閣議決定された「民法等の一部を改正する法律案」及び「民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」について申し上げます。

(出典:法務省「法務大臣閣議後記者会見の概要」令和8年4月3日)

令和8年6月17日、「民法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第45号。以下「民法等改正法」といいます。)及び「民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(令和8年法律第46号。以下「整備法」といいます。)が成立し、同月24日に公布されました。

民法等改正法は、成年後見制度について、後見及び保佐の制度を廃止して補助の制度に一元化して本人にとって必要な範囲でその利用を可能とすることや、遺言制度について、電子データ等で作成し、法務局において保管する保管証書遺言を創設することなどを内容として民法等を改正するものです。

・ 成年後見制度の見直しに係る改正
公布の日から起算して2年6月を超えない範囲内において政令で定める日
・ 遺言制度の見直しに係る改正のうち押印の任意化等
公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日
・ 遺言制度の見直しに係る改正のうちシステムの改修を要する保管証書遺言の創設等
公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日

(出典:法務省「「民法等の一部を改正する法律」(成年後見及び遺言の制度の見直し)について」令和8年6月30日)

議事録・資料はどこで見られるか

  • 各府省の審議会ページ 法制審議会の場合、法務省の「審議会」ページから総会・部会ごとのページに進めます。民法(遺言関係)部会第17回会議のページには、議事概要、議事録(TXT・PDF)、部会資料が掲載されています。
  • 審議会等の一覧 内閣人事局の「審議会等」ページに、審議会等一覧・審議会総覧と基本的計画が掲載されています。
  • 国会での経過 衆議院の「議案情報」で、法律案ごとに受理・付託・議決・公布の日付が確認できます。

このサイトが資料を確認している会議体の例です。

出典

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