国土交通省›令和8年版 土地白書
令和8年版 土地白書 地価の動向と「増加する低未利用土地・不動産の利活用」
この記事のまとめ
- 国土交通省の令和8年版土地白書は2026年7月10日に閣議決定され、テーマ節は「増加する低未利用土地・不動産の利活用」です。
- 白書は令和8年地価公示で全用途平均・住宅地・商業地が5年連続で上昇したとし、全国の変動率は住宅地2.1%、商業地4.3%です。
- テーマ節で白書は、空き家が平成15年の659万戸から令和5年の900万戸に増えたことを図表で示しています。
- 白書は令和7年度の施策として、2024年4月1日施行の相続登記の義務化などの周知を記載しています。
- 白書で新しく何かが決まるものではなく、国土審議会の意見を聴いて作るとされ、2026年5月19日の土地政策分科会で案が審議されました。
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7月10日に閣議決定、地価などの動向と施策を3部構成で記載
令和8年版の土地白書が本日閣議決定されました。 本年の白書は、増加する低未利用土地・不動産の利活用について取り上げています。
(出典:国土交通省 報道発表資料「令和8年版「土地白書」について」令和8年7月10日)
国土交通省の「土地白書」のページには、令和8年版として、概要資料「令和8年版土地白書について」、本文(表紙-目次、第1部、第2部、第3部)、全文のPDFが載っています。このページには掲載日が書かれていません。概要資料の表紙の日付は「令和8年7月」で、作成者は国土交通省 土地政策審議官部門です。本文の表紙には「第221回国会(特別会)提出」と書かれています。
概要資料によると、白書は次の3部で構成されています。
- 第1部 土地に関する動向:第1節 地価の動向/第2節 土地取引の動向/第3節 土地利用の動向/第4節 不動産市場の動向/第5節 不動産投資市場の動向/第6節 土地・不動産の所有・利用・管理に関する意識/第7節 増加する低未利用土地・不動産の利活用【テーマ節】
- 第2部 令和7年度土地に関して講じた基本的施策
- 第3部 令和8年度土地に関する基本的施策:第1章 適正な土地利用及び管理の確保を図るための施策/第2章 土地の取引に関する施策/第3章 土地に関する調査の実施及び情報の提供等に関する施策/第4章 土地に関する施策の総合的な推進/第5章 東日本大震災と土地に関する復旧・復興施策
以下のページ番号は本文PDFに印刷されたものです。第1部と第2部は通し番号(第2部は63ページから)で、第3部は1ページから始まります。
地価は5年連続で上昇、テーマ節は増える空き家など低未利用土地の利活用
地価の動向(第1部第1節)
白書は、国土交通省「地価公示」の令和8年1月1日時点の結果をもとに、全国の地価の動きを次のように記載しています。
国土交通省「地価公示」により、令和8年1月1日時点における全国の地価動向をみると、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも5年連続で上昇し、全用途平均・商業地は上昇幅が拡大したが、住宅地は前年と同じ上昇幅となった。
(出典:令和8年版 土地白書 第1部第1節 1ページ)
住宅地については、次の記載があります。
住宅地では、住宅需要は引き続き堅調であり、地価上昇が継続している。東京圏・大阪圏等の中心部のマンション需要が旺盛な地域では、高い地価上昇が継続している。リゾート地域等では、別荘・コンドミニアムや移住者、従業員向け住宅の旺盛な需要を背景に、高い地価上昇が継続している。また、子育てしやすい環境が整備され、転入者が多い地域では、堅調な住宅需要に支えられ、地価上昇が継続している。
(出典:同 第1部第1節 1ページ)
一方で、令和6年能登半島地震等により、大きな被害を受けた地域では、地価の下落が継続しているが、下落幅は縮小した(図表1-1-1、1-1-2、1-1-3)。
(出典:同 第1部第1節 1ページ)
概要資料の「地価公示の推移」の表から、令和7年と令和8年の地価公示の変動率を抜き出すと次のとおりです(前年からの変動率、単位%)。
| 地域 | 住宅地(R7→R8) | 商業地(R7→R8) | 全用途平均(R7→R8) |
|---|---|---|---|
| 全国 | 2.1 → 2.1 | 3.9 → 4.3 | 2.7 → 2.8 |
| 三大都市圏 | 3.3 → 3.5 | 7.1 → 7.8 | 4.3 → 4.6 |
| 東京圏 | 4.2 → 4.5 | 8.2 → 9.3 | 5.2 → 5.7 |
| 大阪圏 | 2.1 → 2.5 | 6.7 → 7.3 | 3.3 → 3.8 |
| 名古屋圏 | 2.3 → 1.9 | 3.8 → 3.3 | 2.8 → 2.3 |
| 地方圏 | 1.0 → 0.9 | 1.6 → 1.6 | 1.3 → 1.2 |
| 地方四市(札幌・仙台・広島・福岡) | 4.9 → 3.5 | 7.4 → 6.4 | 5.8 → 4.5 |
| その他(地方圏から地方四市を除いた区域) | 0.6 → 0.6 | 0.9 → 1.1 | 0.8 → 0.8 |
(出典:令和8年版土地白書について(概要資料)2ページ「地価公示の推移」。資料は国土交通省「地価公示」)
住宅団地に住む人への意識調査(第1部第6節)
第6節で白書は、国土交通省の「大規模な住宅団地に居住する住民に対する意識調査」の結果を載せています。脚注によると、調査対象は住宅団地に住む3,000人、調査期間は令和8年2月5日〜9日です。
居住する住宅団地への愛着度を聞いたところ、「とても愛着を感じている」が20.6%、「まあまあ愛着を感じている」が63.7%、「あまり愛着を感じていない」が12.1%、「まったく愛着を感じていない」が3.6%であり、現在居住する住宅団地に愛着を感じている人が8割を超えている(図表1-6-7)。
(出典:同 第1部第6節 40ページ)
三大都市圏及びその他地域ともに「若年世代・子育て世帯が少ない」と「空き家が増加している」が他の課題より約10%程度高く、三大都市圏及びその他地域ともに課題であることが分かる(図表1-6-9)。
(出典:同 第1部第6節 41ページ)
住宅団地の課題に対して既に実施している取組は、三大都市圏及びその他地域ともに「特に実施している取組はない」が最も高く、その他地域は三大都市圏より回答割合が高い。
(出典:同 第1部第6節 43ページ)
テーマ節「増加する低未利用土地・不動産の利活用」(第1部第7節)
近年、我が国では人口減少や少子高齢化の進展、産業構造の変化に伴い、全国各地で低未利用の土地や不動産が増加している(図表1-7-1)。
(出典:同 第1部第7節 45ページ)
図表1-7-1は、世帯が保有する空き地の面積(国土交通省「世帯土地統計」)と空き家数(総務省「住宅・土地統計調査」)の推移を示しています。図表の数値では、空き家の総数は平成15年が659万戸、令和5年が900万戸、賃貸・売却用や二次的住宅(別荘など)を除く空き家は平成15年が212万戸、令和5年が386万戸です。
白書は、国土交通省の「所有している土地に関するアンケート調査」(脚注によると、自宅以外の宅地・雑種地の所有者などの5,000人が対象、調査期間は令和6年12月11日〜13日)の結果を引いて、次のように記載しています。
自身又は家族が所有している日常的に利用されていない土地について「管理が行き届いていない」と回答した割合は41.8%と、「管理は行き届いている」(41.5%)を少し上回るなど、今後、管理されない土地の増加が懸念されている(図表1-7-2)。
(出典:同 第1部第7節 45ページ)
特に、高度経済成長期における都市への人口流入の受け皿として、都市の郊外部を中心に全国的に開発されてきた住宅団地では、現在、住民の高齢化や居住世帯数の減少等が顕著に進行しており、地域コミュニティの活力の低下、空き家・空き地の発生等の課題が深刻化している。
(出典:同 第1部第7節 45ページ)
第7節は、第1項(まちの活力・賑わいの再生)で香川県三豊市、新潟県燕市、広島県福山市、青森県八戸市、群馬県前橋市、長崎県長崎市の事例を、第2項(住宅地のコミュニティの再生)で茨城県取手市、神奈川県相模原市、神奈川県横須賀市、東京都東久留米市、兵庫県三木市の事例を紹介しています(47〜58ページ)。
三豊市の事例には、空き家バンクについて次の記載があります。
三豊市空き家バンク制度において、平成24年4月~令和6年3月にかけての物件登録件数が693件であるのに対して、成約件数が592件となっており、登録された空き家の利活用も進んでいる。
(出典:同 第1部第7節 47ページ「地域外の人材を呼び込む空き家を活用した滞在施設(香川県三豊市)」)
相続した土地・所有者不明土地・空き家に関する施策(第2部・第3部)
第2部は令和7年度に政府が講じた施策、第3部は令和8年度に講じようとする施策の報告です。すでに施行された制度については、その周知や運用が書かれています。
相続登記などについて、白書は令和7年度の施策として次のように記載しています。
令和6年4月1日に施行された相続登記の義務化、8年2月2日に施行された所有不動産記録証明制度、同年4月1日施行とされた住所等変更登記の義務化等の内容を周知するなど、新たな制度の適正かつ円滑な運用に取り組んだ。
(出典:同 第2部第1章第3節 65ページ)
相続した土地を国に引き渡す制度については、次の記載があります。
相続等により土地を取得した者が一定の要件の下で土地の所有権を手放して、国に土地を帰属させる制度の創設を内容とする「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(令和3年法律第25号)に基づき、中立・公正な審査を実施し、所有者不明土地の発生の抑制に貢献した。
(出典:同 第2部第1章第3節 65ページ)
空き家については、次の記載があります。
「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)」(平成26年法律第127号)の改正(令和5年12月13日施行)により創設された「管理不全空家等」や「空家等管理活用支援法人」等の制度を市区町村等に周知し、その活用を促すことで、空き家の除却や活用、適切な管理の取組を総合的に推進した。
(出典:同 第2部第1章第2節 64ページ)
同じ項で白書は、空家等対策計画を策定済みの市区町村を1,541(令和7年3月末時点)と記載しています。
第3部(令和8年度の施策)では、低未利用土地を売った場合の税制の特例について、次のように書かれています。
令和8年度税制改正において、低未利用土地等を譲渡した場合の個人の長期譲渡所得に係る税制特例措置を3年間延長する(令和10年12月31日まで)ことにより、引き続き低未利用土地等についてこれを活用しようとする者への譲渡を促進する。
(出典:同 第3部第1章第2節 2ページ)
令和7年版からの変化:地価は「4年連続」から「5年連続」の上昇に
令和7年版の概要資料と本文第1部(第1節・第6節・第7節)を取得して、令和8年版と比べました。
テーマ節:第1部第7節のテーマは、令和7年版が「民間投資を活かした地域の活性化」、令和8年版が「増加する低未利用土地・不動産の利活用」です(両版の概要資料1ページ)。
地価の動向の書き出し:令和7年版の第1部第1節は次のとおりでした。
国土交通省「地価公示」により、令和7年1月1日時点における全国の地価動向をみると、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも4年連続で上昇し、上昇幅が拡大した。
(出典:令和7年版 土地白書 第1部第1節 1ページ)
令和8年版は「5年連続で上昇」とし、住宅地は「前年と同じ上昇幅となった」と書いています。
住宅地の説明:令和7年版は次のように書いていました。
住宅地については、低金利環境の継続等により、引き続き住宅需要は堅調であり、地価上昇が継続している。特に東京圏や大阪圏の中心部等において高い上昇を示している。
(出典:令和7年版 土地白書 第1部第1節 1ページ)
令和8年版の住宅地の段落は「住宅地では、住宅需要は引き続き堅調であり」で始まり、「低金利環境の継続等により」の語句はありません。
能登半島地震の被災地:令和7年版は「大きな被害を受けた地域では、地価が大きく下落している」、令和8年版は「地価の下落が継続しているが、下落幅は縮小した」と書いています。
第6節の調査:令和7年版の第6節は、「所有している土地に関するアンケート調査」(令和6年度)の結果を、取得経緯別・利用形態別などに分けて載せていました。相続で取得した土地については次の記載があります。
取得経緯別に日常的に利用されていない土地の管理状況を聞いたところ、「相続により取得した」場合には、「管理が行き届いていない」が45.3%、「管理は行き届いている」が40.3%、「購入により取得した」場合には、「管理が行き届いていない」が32.0%、「管理は行き届いている」が54.5%となっており、「購入により取得した」場合よりも「相続により取得した」場合の方が、「管理が行き届いていない」割合が大きい(図表1-6-3)。
(出典:令和7年版 土地白書 第1部第6節 33ページ)
令和8年版の第6節は、住宅団地の居住者への意識調査に変わっています。同じ「所有している土地に関するアンケート調査」の管理状況の結果(41.8%・41.5%・16.6%)は、令和8年版では第7節の図表1-7-2に載っています。
概要資料の第3部第1章の主な項目:令和8年版には、令和7年版の一覧になかった「外国人との秩序ある共生社会」が入っています。
国土審議会土地政策分科会が5月19日に白書案に異存なしと決定
土地白書を作る手続について、国土交通省の報道発表資料は次のように書いています。
土地白書(土地に関して講じようとする基本的施策等を明らかにした文書)は、土地基本法に基づき、国土審議会の意見を聴いて作成し、国会に提出することとされております。
(出典:国土交通省 報道発表資料「令和8年版土地白書について審議します~第30回国土審議会土地政策分科会を開催~」令和8年5月15日)
同じ資料によると、国土交通省は2026年5月19日に第30回国土審議会土地政策分科会を開き、議事の1つめを「令和8年版土地白書(令和7年度土地に関する動向(案)及び令和8年度土地に関する基本的施策(案))について」としました。会議は非公開で、国土交通省の土地政策分科会のページに、配布資料(資料1-2「令和8年版土地白書について(案)」など)と議事録が載っています。
議事録によると、松尾分科会長が、令和8年版土地白書(案)について分科会として異存がないことを国土審議会会長に伝えることを諮り、「異議なし」の声のあと、次のように述べています。
御異議がないものと認めます。それでは、そのように決定し、異存ない旨、国土審議会会長にお伝えすることにいたします。
(出典:第30回国土審議会土地政策分科会 議事録(令和8年5月19日)8ページ、松尾分科会長)
税制では、白書の第3部が令和8年度税制改正での低未利用土地の譲渡の特例の延長を記載しています。国土交通省はこれとは別に、令和9年度税制改正要望で「空き家の発生を抑制するための特例措置の拡充・延長」「土地に係る固定資産税の負担調整措置及び条例減額制度の延長」などを要望しています。要望の内容は関連記事「国土交通省の令和9年度税制改正要望(速報)」にまとめています。
今後の予定
- 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特例の期限(令和8年度改正で3年間延長)
予定は資料の記載にもとづくもので、変わることがあります。
経過
日付と出来事の一覧を開く(5件)
- 相続登記の義務化を施行(白書の記載)
- 所有不動産記録証明制度を施行(白書の記載)
- 住所等変更登記の義務化を施行(白書の記載)
- 第30回国土審議会土地政策分科会で白書案を審議し、異存ない旨を国土審議会会長に伝えることを決定
- 令和8年版土地白書を閣議決定し、国土交通省が公表
出典
- 報道発表資料:令和8年版「土地白書」について(令和8年7月10日)(2026年9月13日取得)
- 土地白書 - 国土交通省(2026年9月13日取得)
- 令和8年版土地白書について(概要資料)(2026年9月13日取得)
- 令和8年版土地白書 本文(表紙 - 目次)(2026年9月13日取得)
- 令和8年版土地白書 本文(第1部 土地に関する動向)(2026年9月13日取得)
- 令和8年版土地白書 本文(第2部 令和7年度土地に関して講じた基本的施策)(2026年9月13日取得)
- 令和8年版土地白書 本文(第3部 令和8年度土地に関する基本的施策)(2026年9月13日取得)
- 令和7年版土地白書について(概要資料)(2026年9月13日取得)
- 令和7年版土地白書 本文(第1部 土地に関する動向)(2026年9月13日取得)
- 報道発表資料:令和8年版土地白書について審議します~第30回国土審議会土地政策分科会を開催~(令和8年5月15日)(2026年9月13日取得)
- 令和8年版土地白書について(案)(国土審議会土地政策分科会 資料1-2)(2026年9月13日取得)
- 第30回国土審議会土地政策分科会 議事録(令和8年5月19日)(2026年9月13日取得)
- 国土審議会:土地政策分科会 - 国土交通省(2026年9月13日取得)