金融庁金融庁(2026事務年度金融行政方針)

2026事務年度の金融行政方針は、家計に関わるテーマをどこで・いつ検討すると書いているか

この記事のまとめ

  • 金融庁が2026年9月15日に「2026事務年度金融行政方針」を公表し、政策テーマ等一覧として掲げています。
  • 家計に関わるのは資産運用サービス、企業型DC・iDeCo、保険代理店、預金と住宅ローン、詐欺被害です。
  • 個人投資家向け投資信託の制度改正は、2026年度中に一定の結論を得ることを目指すと記載されています。
  • 審議会の名前が出てくるのはディスクロージャーWGだけで、ほかは研究会・検討会や金融庁の監督です。
  • その他のテーマは、検討の場や結論の時期が方針に書かれていません。
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「政策テーマ等一覧」は、9月15日公表の金融行政方針のページを指す

金融庁の「政策・審議会」ページには、「政策テーマ・施策」の欄に「政策テーマ等一覧(金融行政方針との関連)」という項目があります。2026年9月16日に確認したところ、このリンク先は https://www.fsa.go.jp/news/r8/202609/260915.html#sp_summary でした。つまり、9月15日に公表された「2026事務年度金融行政方針について」のページそのものです。

そのページの本文は次の1文です。

金融庁は、2026事務年度の金融行政における重点課題および金融行政に取り組む上での方針を、「2026事務年度金融行政方針」として策定いたしましたので、公表いたします。

(出典:金融庁「2026事務年度金融行政方針について」2026年9月15日)

ページには「金融行政方針」(PDF 1.7MB)と「金融行政方針(主なポイント)」(PDF 0.2MB)が載り、別添として内閣官房の「成長投資を促進するための金融戦略」へのリンクが置かれています。

方針は金融戦略と重複を避けた補完文書として作られている

読むときに前提になるのが、この方針の位置づけです。「主なポイント」の末尾に、次の注があります。

2026事務年度 金融行政方針は、金融戦略(別添)との記載の重複を避けつつ、補完が必要な項目を中心に作成している。

(出典:金融庁「2026事務年度 金融行政方針 主なポイント」)

そのため、家計に関わる大きな枠組みは、2026年7月に策定された金融戦略の側に置かれています。方針の「主なポイント」は、金融戦略に掲げられた施策として次のように列挙しています。

2026年7月に策定された「成長投資を促進するための金融戦略 - 資産運用立国のアップグレード -」に掲げられた、金融機関・市場の機能発揮、コーポレートガバナンス改革等を通じた企業の成長投資の促進、地域金融力の強化、アセットオーナーの機能向上、資産運用サービスの高度化、家計の安定的な資産形成の促進、金融インフラへの投資の促進等の着実な具体化・実行に取り組む。

(出典:同上)

方針の本文は、目次によると3つの柱と、その下の各4項目で構成されています。家計に関わる項目は、1(3)「家計の安定的な資産形成と資産運用サービスの高度化」、2(3)「金融犯罪や自然災害への対応と利用者のための環境整備」に集まっています。

家計に関わるテーマと、方針が挙げる検討の場・時期

方針の本文から、家計に関わるテーマを抜き出し、方針が検討・対応の場と時期をどう書いているかを並べます。会合の名前が書かれていないものは「記載なし」としています。

テーマ(方針の記載) 方針が挙げる検討・対応の場 時期の記載
資産運用サービスを提供する金融機関の運用力向上、プロダクトガバナンスの確立 金融庁の横断的モニタリング(プログレスレポートとして公表) 記載なし
企業型DC・iDeCoの充実 運営管理機関(金融機関等)への働きかけ 記載なし
プライベートアセットへの投資に特化した個人投資家向け投資信託の制度改正 関係団体との検討 2026年度中に一定の結論を得ることを目指す
有価証券報告書の記載事項の整理、開示書類間の重複の解消 金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(脚注2) 記載なし
保険会社と保険代理店の対話、保険代理店の顧客本位の業務運営 金融庁の監督・検査 記載なし
預金商品と住宅ローンの販売 金融庁のモニタリング 記載なし
特殊詐欺の被害者の実効的な救済に向けた制度の在り方 記載なし(警察庁等の関係省庁・民間事業者との連携を記載) 記載なし
暗号資産の移転に一定の熟慮期間を設ける等の措置 記載なし(「制度的対応」と記載) 記載なし
金融経済教育を受ける機会の地域差 金融経済教育推進機構(J-FLEC)と関係省庁 記載なし
オンチェーン金融・AIの技術、制度、監督に関する論点 「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」「AI等の健全な利活用の推進に関する研究会」、新たに立ち上げる「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」 記載なし
地域課題の解決に取り組む事業への資金供給 「地域の資金循環検討会」 記載なし

時期が書かれているのは個人投資家向け投資信託の「2026年度中」だけ

家計に関わるテーマのうち、方針が結論の時期を書いているのは1つです。プライベートアセット(方針の脚注5では、投資対象としてのPEファンド・VC等、金融商品取引所等で取引されていない資産の総称と説明)に特化した個人投資家向け投資信託について、方針は次のように記載しています。

個人投資家向け投資信託の制度改正について、2026 年度中に一定の結論を得ることを目指し、関係団体と検討を進める。

(出典:2026事務年度 金融行政方針 3ページ)

検討の相手は「関係団体」とされ、審議会やワーキング・グループの名前は書かれていません。

審議会の名前が出てくるのはディスクロージャーWGだけ

方針の本文と脚注のうち、金融審議会の会議名が出てくるのは1か所です。有価証券報告書について、方針は次のように記載しています。

有価証券報告書について、投資家にとって有用な情報開示と企業の効率的な開示実務の両立を図る観点から、記載事項の整理や開示書類間の重複の解消に向けた検討を進める

この文には脚注2が付いており、脚注は次の1行です。

金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」

(出典:2026事務年度 金融行政方針 2ページおよび脚注2)

研究会については、デジタル金融の項で2つの名前が挙がっています。

「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」と、「AI 等の健全な利活用の推進に関する研究会」において、技術、制度、監督等に関する論点を検討する。

(出典:2026事務年度 金融行政方針 5ページ)

なお、2026年8月31日の金融審議会総会で諮問された保険制度ワーキンググループ(仮称)や、再保険キャプティブ制度、生命保険のセーフティネット制度は、この方針の本文には出てきません(「キャプティブ」「セーフティネット」「保険制度」のいずれも、抽出テキストでの出現は0件)。

資産運用サービスは横断的モニタリング、DC・iDeCoは運営管理機関への働きかけ

1(3)の柱書きは次のとおりです。

家計が自らのライフプランやリスク許容度に応じて金融商品・サービスを選択し、経済成長の成果を享受するためには、良質な金融商品・サービスの提供に加え、必要な知識と情報を得られる環境が重要である。資産運用サービスの高度化を進めるとともに、世代・地域ごとの状況を踏まえた金融経済教育等を通じ、家計の安定的な資産形成を後押しする。

(出典:2026事務年度 金融行政方針 4ページ)

資産運用サービスについての記載は次のとおりで、審議会での議論ではなく金融庁のモニタリングと公表が手段として挙げられています。

資産運用サービスを提供する金融機関を横断的にモニタリングし、プログレスレポートとして結果を公表する。具体的には、人材育成や報酬の在り方の検討等を含む運用力向上や適切なプロダクトガバナンスの確立に向けた取組状況等についてモニタリングを行う。

(出典:同4ページ)

企業型DC(企業型確定拠出年金)とiDeCo(個人型確定拠出年金)については、金融戦略に盛り込まれた充実に向けて、運営管理機関への働きかけが書かれています。

運営管理機関(金融機関等)が加入者目線に立った制度改善を提案することや運営面での効率化・合理化の取組を進めることを促す。

(出典:同4ページ)

保険代理店は継続的な対話、暗号資産は熟慮期間の制度的対応

保険については、2(2)で保険会社と保険代理店の関係が取り上げられています。

保険会社と保険代理店との関係については、両者の理解・協力に基づく継続的な対話の充実を促すことにより、保険代理店の規模・業務特性に応じた顧客本位の業務運営の確立と徹底を図る。

(出典:2026事務年度 金融行政方針 11ページ)

同じ項では、生命保険会社・損害保険会社による改正保険業法(方針の脚注41によると2025年5月30日成立)の施行への対応状況等を確認するとも書かれています。

詐欺被害への対応では、制度の在り方の検討が1行入っています。

不正利用口座に係る預金取扱金融機関間の情報共有、口座の不正利用の早期検知・迅速な凍結や、デビットカードの不正利用の実態把握、利用者への広報・啓発等について、警察庁をはじめとする関係省庁や民間事業者との連携を強化する。官民一体となった取組を進めるとともに、被害者の実効的な救済に向けた制度の在り方について検討する。

(出典:同12ページ)

暗号資産については、方針は次の措置を挙げています。

利用者が新規口座開設直後に暗号資産をアンホステッド・ウォレットへ移転できないよう一定の熟慮期間を設ける等の措置について制度的対応を滞りなく進めるなど、被害の拡大防止に取り組む。

(出典:同12ページ)

どちらも、検討や制度的対応を行う会合の名前と時期は書かれていません。

預金と住宅ローンは「利用者保護の観点から注意深くモニタリング」

金利上昇を背景にした預金商品と住宅ローンの販売も、利用者のための環境整備の項に入っています。

金利が上昇する中で預金獲得競争が激しくなっており、従前にはなかった預金商品が提供されているほか、住宅ローンにおいても、例えば、従前よりも償還期間が著しく長い商品などが販売されている。

(出典:2026事務年度 金融行政方針 12ページ)

そのうえで方針は、預金者が預金の商品性を正しく理解できる販売が行われているか、住宅ローン利用者の収入見込みなどに照らして適切なローンが組まれているかを挙げ、次のように続けています。

利用者保護の観点から注意深くモニタリングを行う。

(出典:同13ページ)

高齢者や障がい者、外国人への対応も同じ項にあります。

高齢者や障がい者、外国人等、様々な課題やニーズを抱える顧客が、安全で利便性の高い金融サービスにアクセスできるよう、金融機関等に対し、利用者に寄り添った対応を促す

(出典:同13ページ)

法案提出の時期が書かれているのは貸金業の規制の見直し

方針の本文で「国会」に触れているのは1か所で、金融戦略の引用としての脚注29です。

金融戦略においては、「成長投資を支える資金供給主体の多様化を図るため、貸金業の規制の見直しを図る。具体的には、金融システムの信用維持や借り手の保護を前提に、銀行等や政府系金融機関が企業の M&A や事業展開のために組成するシンジケートローンに、日本で銀行免許がない外国金融機関の参加を促すための制度や、大企業の M&A 等への資金供給を円滑に行うための制度を検討し、次期通常国会への法案提出を目指す。」としている。

(出典:2026事務年度 金融行政方針 脚注29)

この貸金業の規制については、金融庁の「審議会・研究会等」ページの今後の開催予定(令和8年9月9日現在)に、次の会合が載っています。

金融審議会「成長企業への資金供給の在り方等に関するワーキング・グループ」(第1回)

日時:令和8年9月16日(水曜日)10時00分~12時00分

(出典:金融庁「審議会・研究会等」今後の開催予定)

これから確かめること

  • 個人投資家向け投資信託の制度改正:方針は「2026年度中に一定の結論」を目指すとしています。どの場で結論が示されるかは、方針には書かれていません。
  • 有価証券報告書の記載事項の整理:金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」の資料で経過を追えます。取りまとめの時期は方針に記載がありません。
  • 貸金業の規制の見直し:方針が引用する金融戦略が「次期通常国会への法案提出を目指す」としています。金融審議会「成長企業への資金供給の在り方等に関するワーキング・グループ」の第1回が2026年9月16日に開かれます。
  • その他の家計に関わるテーマ:資産運用サービス、企業型DC・iDeCo、保険代理店、預金と住宅ローン、詐欺被害の救済は、方針では金融庁のモニタリングや働きかけとして書かれ、会合名と時期の記載がありません。

今後の予定

  1. 金融審議会「成長企業への資金供給の在り方等に関するワーキング・グループ」第1回(金融庁「審議会・研究会等」の今後の開催予定)
  2. Japan Fintech Week に合わせた「アジア・デー2027」の開催(方針の脚注20の記載は「2027年2月~3月開催」)
  3. 個人投資家向け投資信託の制度改正の「一定の結論」の目標時期(方針の記載は「2026年度中」)

予定は資料の記載にもとづくもので、変わることがあります。

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経過

日付と出来事の一覧を開く(3件)
  1. 保険業法の一部を改正する法律が成立(金融行政方針の脚注41)
  2. 金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律が成立(金融行政方針の脚注42)
  3. 金融庁が「2026事務年度金融行政方針」と「主なポイント」を公表

出典

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