こども家庭庁›令和8年版 こども白書
令和8年版こども白書 子育て世帯の家計を支える仕組みと「こども誰でも通園制度」の全国実施などを特集
この記事のまとめ
- こども家庭庁の令和8年版こども白書は6月19日に閣議決定・国会提出され、特集は家計支援やこども誰でも通園制度など3本です。
- 白書は、2025年の出生数を67万1,236人で統計開始以来最少、合計特殊出生率を1.14で過去最低と記載しています。
- 白書は、理想のこども数を持たない理由で最も多いのは「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」(52.6%)としています。
- 特集1は児童手当の所得制限撤廃と高校生年代までの延長、2027年からのNISAのつみたて投資枠の年齢要件撤廃などを記載しています。
- 白書はこども基本法に基づく年次報告で新しく何かを決めるものではなく、税制改正要望の扱いは例年12月の大綱で示されます。
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令和8年版は6月19日に閣議決定・国会提出、特集は3本
こども家庭庁の公式ページには、白書の正式な名称と日付が次のように掲載されています。
「令和7年度 我が国におけるこどもをめぐる状況及び政府が講じたこども施策の実施状況」(令和8年6月19日閣議決定・国会提出)
(出典:こども家庭庁「令和8年版こども白書」公式ページ)
公式ページの日付は閣議決定と国会提出の日(令和8年6月19日)で、これとは別の公表日の記載はありません。概要版は、こども基本法第8条第1項に基づく年次報告(法定白書)で、令和8年版が3回目、令和7年度(2025年度)の状況の報告と説明しています(1ページ)。
構成は、第1部「特集・ダイジェスト」、第2部「我が国におけるこどもをめぐる状況」、第3部「政府が講じたこども施策の実施状況」(全4章)です。特集は次の3本です。
| 特集 | テーマ(副題) |
|---|---|
| 特集1 | 子育て世帯の家計や仕事と育児の両立を支える新たな仕組み(児童手当拡充、高等教育費無償化、育休給付拡充、住宅支援(補助・減税・金利)、NISAのつみたて投資枠の年齢要件の撤廃等) |
| 特集2 | 全てのこどもの育ちと子育てを応援するために(「こども誰でも通園制度」の全国実施) |
| 特集3 | こどもへの性暴力をなくすための総合的な取組の推進(こどもが安心して学び育つことのできる場の確保) |
(出典:こども家庭庁「令和8年版こども白書 概要」1ページ)
特集3について、概要版は、こども性暴力防止法が2026年12月25日に施行されると記載しています(3ページ)。この記事では、特集1・特集2と、第2部・第3部のうち家計や暮らしに関わる記載を取り上げます。
家計の支援策、こども誰でも通園制度、出生と子育ての統計
児童手当と物価高対応子育て応援手当
特集1は、2024年10月以降に実施した児童手当の拡充を、次のように記載しています。
・従来は主たる生計者の年収が 960万円以上の場合などに受給制限があったが、拡充により当該所得制限を撤廃した。
・支給期間について、中学校修了前までであったものを高校生年代まで延長した。
・支給額については、0歳から3歳未満の第1子及び第2子は月額1万5千円、3歳から高校生年代の第1子及び第2子は月額1万円とし、第3子以降については月額3万円に増額した。
(出典:こども家庭庁「令和8年版こども白書」第1部第1章 特集1、4ページ)
第3部第3章は、2025年11月21日に閣議決定された総合経済対策に基づく手当について、次のように記載しています。
0歳から高校3年生までのこどもに1人当たり2万円の物価高対応子育て応援手当を支給することとした。
(出典:こども家庭庁「令和8年版こども白書」第3部第3章第1節、227ページ)
妊娠・出産
また、2023 年4月には出産育児一時金の支給額を 42 万円から 50 万円へ引き上げたが、出産費用が年々上昇する中で、更なる経済的負担の軽減が課題となっている。
出産に伴う経済的負担の軽減を図るため、出産に対する新たな給付体系の導入等に向けて、2026 年特別国会(第 221 回国会)へ関連法案を提出するなど、必要な準備を進めている。
2025年4月から実施している「妊婦のための支援給付」の金額は、次のとおりです。
本給付では、妊婦であることの認定後に5万円を、その後、妊娠しているこどもの数の届出後に、こどもの数に5万円を乗じた額を支給することとしている。
(出典:こども家庭庁「令和8年版こども白書」第1部第1章 特集1、4ページ)
大学・高校の授業料、奨学金、学校給食費
特集1は、高等教育の修学支援新制度の対象を、2024年度から中間所得層(年収600万円程度)のうち、こども3人以上を扶養している多子世帯や私立理工農系の学生へ広げたと記載しています(4ページ)。多子世帯の学生の扱いは、第3部第3章で次のように書かれています。
2025 年度からは多子世帯について、所得制限なく、国が定める一定額まで、大学等の授業料等の減免を行っている。
(出典:こども家庭庁「令和8年版こども白書」第3部第3章第1節、224ページ)
貸与型奨学金の減額返還制度は、2024年度から利用できる年収の上限を325万円から400万円に引き上げ、こども2人世帯は500万円以下、こども3人以上の世帯は600万円以下まで対象を広げたと書かれています(特集1、5ページ)。高校の授業料と学校給食費の記載は次のとおりです。
2026 年度以降は、高校段階の授業料を支援する「高等学校等就学支援金」の所得制限の撤廃や支給上限額の引上げ等を行うほか、授業料以外の教育費負担を軽減する「高校生等奨学給付金」についても、対象を中所得世帯まで広げるなど制度を拡充している。
「給食費負担軽減交付金」を創設し、2026 年4月より、公立小学校等の学校給食に係る食材費への支援を実施することで、学校給食費の抜本的な負担軽減を図っている。
(出典:こども家庭庁「令和8年版こども白書」第1部第1章 特集1、5ページ)
住宅支援と住宅関連の税制
住宅ローン減税については、令和8年度税制改正において、適用期限を5年間延長するとともに、子育て世帯・若者夫婦世帯の住宅取得等を支援するため、これらの世帯に対して借入限度額を上乗せする措置を引き続き講じることとされた。
また、リフォーム税制については、子育て世帯・若者夫婦世帯の子育ての負担軽減に資するリフォームを支援するため、所得税の特例措置の適用期限が3年間延長された。
(出典:こども家庭庁「令和8年版こども白書」第1部第1章 特集1、6ページ)
同じページには、住宅ローン【フラット35】で子育て世帯または若年夫婦世帯の借入金利をこどもの人数等に応じて一定期間引き下げる制度も書かれています。引下げの幅は、図表1-1-1に「こどもの人数等に応じて最大1%(5年間)の引下げ」とあります(3ページ)。
NISAのつみたて投資枠の年齢要件
特集1は、現行のNISAの利用可能年齢が18歳以上であることを説明したうえで、次のように記載しています。
令和8年度税制改正において、次世代の資産形成を促進し、長期・安定的な投資を通じて、大学進学等、成人後のライフイベントに伴う必要資金を備えられるよう、2027 年から、つみたて投資枠の年齢要件を撤廃し、0歳から 17 歳までの間の年間投資枠(60 万円)及び非課税保有限度額(600 万円)を設定することとされた。
(出典:こども家庭庁「令和8年版こども白書」第1部第1章 特集1、6ページ)
育児休業・時短勤務の給付、保険料の負担軽減
また、給付面では、「出生後休業支援給付」を創設し、育児休業給付とあわせて給付率 80%(手取りで 10 割相当)を実現している(図表 1-1-6)。
(出典:こども家庭庁「令和8年版こども白書」第1部第1章 特集1、8ページ)
2歳未満の子を養育するために時短勤務をしている場合の新たな給付として、「育児時短就業給付」を創設した
(出典:こども家庭庁「令和8年版こども白書」第1部第1章 特集1、9ページ)
自営業・フリーランスなど国民年金第1号被保険者の育児期間の保険料について、特集1は次のように記載しています。
国民年金第1号被保険者の多様な実態を踏まえ、所得要件や休業要件は設けず、父母ともに最大 12 か月間(実母は産前産後免除期間に続く9か月間)を免除期間とし、免除期間における基礎年金額は満額を保障することとしている。2026 年 10 月の施行を予定しており、円滑な施行に向けた周知等を進めている。
(出典:こども家庭庁「令和8年版こども白書」第1部第1章 特集1、11ページ)
国民健康保険の保険料については、第3部第3章に次の記載があります。
2022 年4月から、未就学児に係る均等割保険料について、その5割を公費(国 1/2、都道府県 1/4、市町村 1/4)により軽減する措置を講じているところ、2027 年4月から、子育て世帯の更なる負担軽減のため、当該軽減措置の対象を高校生年代まで拡充することとしている。
(出典:こども家庭庁「令和8年版こども白書」第3部第3章第1節、227ページ)
こども誰でも通園制度(特集2)
特集2は、2026年4月1日から全国で本格実施されたこども誰でも通園制度を、月一定時間(原則10時間)までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず時間単位等で利用できる通園給付と説明しています(12ページ、14ページ)。
2026 年度から全ての市町村で実施することとなっており、対象は、0歳6か月から満3歳未満の保育所等に通っていないこどもである。なお、利用に当たっては、居住する市町村から認定を受ける必要がある。
(出典:こども家庭庁「令和8年版こども白書」第1部第1章 特集2、14ページ)
利用者からは1時間当たり標準300円とする利用料や教材費などの実費を徴収できること、給付に係る費用の2分の1は子ども・子育て支援金で賄われていることも書かれています(16〜17ページ)。
第2部の統計(出生・子育て・貧困)
2025 年の出生数は 67 万 1,236 人で、統計を開始した 1899 年以来、最少の数字となった。
(出典:こども家庭庁「令和8年版こども白書」第2部第1章、88ページ)
同じページで、合計特殊出生率は2025年に1.14と過去最低になったと書かれています。2025年の数字は、厚生労働省の人口動態統計月報年計(概数)によると図表2-1-1の注にあります。
予定こども数が理想こども数を下回る夫婦が理想こども数を持たない理由は、次のように書かれています。
「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」(52.6%)が最も多く、次いで「高年齢で生むのはいやだから」(40.4%)
(出典:こども家庭庁「令和8年版こども白書」第2部第1章、95ページ)
男性の育児休業取得率は、近年、顕著に上昇しており、2024 年度には 40.5%となっている。
(出典:こども家庭庁「令和8年版こども白書」第2部第1章、98ページ)
国民生活基礎調査に基づく相対的に貧困の状態にあるこどもの割合は 11.5%となっており、特にひとり親世帯の貧困率は 44.5%と高い。
(出典:こども家庭庁「令和8年版こども白書」第2部第1章、110ページ)
令和7年版からの変化:出生数は72万人台から67万人台に
令和7年版こども白書(公式ページの表記では令和7年6月13日閣議決定・国会提出)の公式ページと第2部第1章を取得し、特集のテーマと第2部の数字を比べました。
特集は、令和7年版が4本(全てのこども・若者が安全・安心な居場所を見つけられる社会を目指して/若い世代の描くライフデザインや出会いのサポート/保育政策の新たな方向性/こどもの悩みに寄り添える社会に向けて)でした。令和8年版は3本で、特集1に子育て世帯の家計や仕事と育児の両立を支える仕組みが置かれています(両版の公式ページ)。
第2部第1章の本文で、同じ項目の数字を比べると次のとおりです。
| 項目 | 令和7年版 | 令和8年版 |
|---|---|---|
| 出生数 | 2023年 72万7,288人(94ページ) | 2025年 67万1,236人(88ページ) |
| 合計特殊出生率 | 2023年 1.20(94ページ) | 2025年 1.14(88ページ) |
| 婚姻件数 | 2023年 47万4,741組(95ページ) | 2025年 48万9,119組(89ページ) |
| 「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」 | 52.6%(100ページ) | 52.6%(95ページ) |
| 男性の育児休業取得率 | 2023年度 30.1%(104ページ) | 2024年度 40.5%(98ページ) |
| こどもの貧困率/ひとり親世帯の貧困率 | 11.5%/44.5%(113ページ) | 11.5%/44.5%(110ページ) |
令和7年版の本文の記載は、たとえば次のとおりです。
2023 年の出生数は 72 万 7,288 人で、統計を開始した 1899 年以来、最少の数字となった。
男性の育児休業取得率は、近年、顕著に増加しており、2023 年度は 30.1%となっている。
(出典:こども家庭庁「令和7年版こども白書」第2部第1章、94ページ・104ページ)
出生数・合計特殊出生率・婚姻件数の文は、令和7年版が2023年、令和8年版が2025年の数字です。理想こども数を持たない理由とこどもの貧困率は、両版の本文に同じ数字が載っています。
特集1の税制措置は令和8年度税制改正、要望の扱いは例年12月の大綱で
特集1のNISA、住宅ローン減税、リフォーム税制は、白書では「令和8年度税制改正において」の措置として書かれています。これらが令和8年度の税制改正要望でどう要望され、12月の税制改正大綱にどう書かれたかは、令和8年度の税制改正要望は、12月の大綱でどうなったか(経緯まとめ)で原文を確認しています。
特集1の「おわりに」には、2026年度から「こどもとともに成長する企業構想」を推進すると書かれています(11ページ)。こども家庭庁は令和9年度の税制改正要望で、ベビーシッター等の利用費に係る措置と、「こどもとともに成長する企業」認定制度に伴う措置を要望しています(こども家庭庁の令和9年度税制改正要望(速報))。税制改正要望は、例年12月に与党が取りまとめる税制改正大綱で扱いが示されます。
今後の予定
- 国民年金第1号被保険者の育児期間の保険料免除を施行(白書では10月施行を予定)
- こども性暴力防止法が施行(白書の概要版の記載)
- 国保の未就学児の均等割保険料の軽減を高校生年代まで拡充(白書の記載)
予定は資料の記載にもとづくもので、変わることがあります。
経過
日付と出来事の一覧を開く(4件)
- 令和7年版こども白書を閣議決定・国会提出
- 総合経済対策を閣議決定(白書は同対策に基づく物価高対応子育て応援手当を記載)
- こども誰でも通園制度が全国で本格実施
- 令和8年版こども白書を閣議決定・国会提出
出典
- こども家庭庁「令和8年版こども白書」(公式ページ)(2026年9月13日取得)
- 令和8年版こども白書 概要(PDF)(2026年9月13日取得)
- 令和8年版こども白書 表紙・凡例・目次(PDF)(2026年9月13日取得)
- 令和8年版こども白書 第1部第1章 特集①(PDF)(2026年9月13日取得)
- 令和8年版こども白書 第1部第1章 特集②(PDF)(2026年9月13日取得)
- 令和8年版こども白書 第2部第1章(PDF)(2026年9月13日取得)
- 令和8年版こども白書 第3部第3章(PDF)(2026年9月13日取得)
- こども家庭庁「令和7年版こども白書」(公式ページ)(2026年9月13日取得)
- 令和7年版こども白書 第2部第1章(PDF)(2026年9月13日取得)